天白文庫
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DOLL

BL/純愛/R指定




小噺 初めての×××




 こんばんは。赤月です。
 キョウさんに気持ちが通じてから、数ヶ月。毎日がめまぐるしく、楽しい日々です。
 今日もお仕事をミスなくこなせましたし、ライ君と楽しくお話しできました。き、勤務中ですけど。
 そして今夜はSMショーがあったので、来館されたお客様も多く、店内も大忙し。水鏡様が出演なさるのですから、もちろん……なの、ですが。はあ。
 あ、す、すみませんっ。
 えっと、ショーは大盛況でした。お客様に大変お喜びいただけたようです。俺はショールームのお片付けとお掃除を済ませ、本日の勤務を終了しました。
 その後、スタッフ寮へ戻り、お風呂に入って就寝準備に取りかかっていたんです。
 そこへ。
 コンコン
「オレ」
 キョウ様が、いらっしゃったんです。
「キョウさ……え、あれ……?  も、申し訳ありません! 俺、お仕事忘れて……」
「は? ああ、いや違う。お前に何も命じてないし、頼んでない。ただ、オレが来ただけだ」
「そんな……お呼びくだされば俺が伺いましたのに……」
「いいだろ。オレが来ても……それとも、オレがここへ来たらなんかマズイのか?」
「そ、そんなことないです……!」
「上がっていいか? さすがに、水鏡のままじゃ、な」
 突然の来訪。
 キョウ様は水鏡様のお姿のまま、俺の部屋へといらっしゃいました。シャワーは浴びられたのか、お髪が少し湿っています。
 か、格好いい、です……って、そうじゃなくて!
「な、何もありませんが……どうぞ」
「ああ」
 そういうわけで。
 キョウ様が、俺の部屋にいらっしゃいました。
 なぜかお酒をもって。
「あの……お摘みです」
「ん。ありがとな」
 お摘みをキョウ様の前にご用意すると、くしゃりと優しく俺の頭を撫でられます。
 嬉しい、です。
「こ、氷……お持ちいたします。キョウ様」
「アウト」
「へっ?」
「様、つけんなって言っただろ」
「あっ、す、すみませんっ」
 そうだった!
 俺、約束したのに。また、キョウ様って……
「き、キョウ……さん」
 俺は慌てて訂正しました。前の主人なら、俺の頬はすでに腫れ上がっていたところです。
 でもキョウ様は……ううん。キョウさんは。
「いつになったら慣れるんだか」
 苦笑して、額にキスをします。
 打たれ、殴られるだけだった俺の額に、温かい何かをくれるんです。
 あたたかく、なるんです。
「ま、いいけどな。それより……」
 コン、と目の前に置かれる缶のお酒。
 確か……ビール、だ。
「飲むぞ」
「は、い……」
「お前もだ」
「え!?」
 お、俺も!?
 ふるふると首を振ってみせました。めっそうもございません!!
「美味いぞ?」
「そ、そんな贅沢品……俺なんかが口にしていいものじゃありません」
「缶のビールなら安いもんだ。価格くらい知ってるだろ」
「で、ですが……俺、お酒……飲んだことない……です、し……」
「ならちょうどいい。お前も成人してんだから、酒の味を覚えろ」
「う……」
 俺に付き合えと、プルタブの開いた缶ビールを勧められました。
 お酒。
 前の主人は浴びるように飲んでいた嗜好品です。
 興味なんてなかったけど……キョウさんが勧めてくれる物なら、口にしたいです。
 そっと、ビールの缶を手にしました。
「あ、あの……では……」
 いただきます。
 コクリ。
「うっ……!? げほげほっ、けふっ、えふっ……けふん!」
 にがっ、苦いっです!!
 これがお酒ですか!?
「ん? ビールは口に合わないか?」
 うっ……キョウさんっ!?
 へ、平然と飲んでるっ!
 な、なんで!?

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