天白文庫
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DOLL

BL/純愛/R指定




小噺 経験者は語る




「うっ、けほんっ、けふっ……えふっ……」
 ビールはまだ早かったか?
 しかし度数はかなり低いぞ、これ。
 一口目で派手に咳き込む赤月の小さな背を擦りながら、オレは片手でカクテルの缶を開けた。
 そろそろ酒を覚えさせてもいい頃だし、オレの知らないところで飲まれても困るからな。もしもライみたいな最悪な酒乱だったら禁酒もやむを得ない。そう思って持ち込んだものだったが、ここまでとは思わなかった。
 目にいっぱいの涙を溜めながら、頬を真っ赤にして噎せ続ける赤月。
 信じられないとばかりに、オレの空けた缶と自分の手にする缶をチラチラと交互に見合わせた。
 まあ、ただそれだけの仕草なんだが。
 なんでこうも可愛いんだ、こいつは。
「大丈夫か?」
「ひゃっ、はいっ……だ、大丈夫りぇす……」
 なんでこうも可愛いんだ、こいつは。
 思わずキスしそうになるところを寸でで堪えると、俺は先程開けたカクテルを差し出した。
「ビールはまだ早かったな。これは俺が飲むから、お前はこっちを飲め」
「ふぇっ!?」
「大丈夫だ。これは甘いから」
「あ、甘い……ですか?」
「ああ。ジュースみたいなものだ」
 へぇ。疑いの眼を向けられるのは初めてだな。
 しかし無理もないか。
「大丈夫。香りを嗅いでみろ。甘いだろ?」
「くん。あ、甘い、です……」
「疑いは晴れたか」
「う、疑ってなんかないですっ…!」
「そういうことにしといてやる」
「う……」
 図星を隠そうと、申し訳なさそうに俯く赤月は、手にしたカクテルの缶に口づけ、ちびちびと飲み始めた。
「あ……美味しい、です」
「そうか」
 カクテルだしな。度数はビールより少し高いが、これなら大丈夫だろ。
 舐めるような飲み方から、少し勢いをつけてクピクピと飲み出した赤月を横目に、オレは次の缶を開けた。
「これ、おいひぃれす。んく……んく……」
「あまりピッチを上げるなよ。初めてなんだから」
「ぷはっ……ふぁ? はやい……れひゅか?」
「早い……つーか、呂律回ってねぇぞ、お前」
「ふいっ、く……ん……しょんなことない……れひゅ……しょれより……キョウさん……」
 ん?
「せっくすしたい……れひゅ。ふぃっく……!」

───…

「んっ、あっ、あう…ん…」
「気持ち良さそうだな……赤月。次はどうされたい?」
「んあっ……んっ、はあ……や……キョウさっ……おれ、も……イっちゃう……」
「もう? まだ先に触れてるだけだぞ?」
「さきっぽ……だめっ……い、いいのっ……だめっ…い、きもちいいの……だめ」
 赤月は泣きじゃくりながら、羞恥で真っ赤になった顔を必死で隠そうと身を捩らせる。
 だが、一糸纏わない姿にされた赤月の中心はだらだらと涎を滴ながら反り勃っている。隠したいのなら、顔ではなくそちらだろうと普通なら思うところだが、残念ながらそれはできない。
 それはオレが、赤月の両手首を縛りつけているためだからだ。ついでにいうなら、両足首も縛っている。つまりどういう状態かといえば、赤月の膝を折り曲げ、それを手首の方へとやり、それぞれまとめて縛りつけているため、手はおろか足も動かせないということだ。蛙のように脚を大きく割り開かされているため、赤月の中心は惜しげもなく晒されている。
 普段の赤月ならば、あまりの羞恥で死んでしまうかもしれない。
 普段なら、な。
「あっ、キョウさっ……ん、おくっ……おく、もっと……んあっ……こす、こすってっ……」
「奥? ここか?」
「や、あっ、ふああんっ!!」
 ある一点を擦ってやれば、沖に上がった魚のようにビクビクと大きく肢体を震わせる。
 反り勃った中心は、ビュクリと薄い白濁を吐き出した。
「んっ、はぁっ……はぁっ……あっ……」
 しかしまだ、隆々と勃起する赤月のソレは形を保ったまま、先の割れ目からは吐き出した精とともに、透明な蜜が溢れ出る。硬い幹の下で柔らかな袋に包まれた二つの実が、その中で甘い欲を精製しているのだろう。
 また、普段は晒されることのない赤月の蕾は、オレの長い指をくわえこんで離さなかった。
「キョウさっ……あっ……へん、ですっ……からだっ……あつ……んっ……やあっ……」
「変? どう、変なんだ?」
「へん、ですっ……あつ…いの……んっ、も……もっと……ほし……キョウ、さぁんっ……」
 上と下。そのどちらの口からも涎を垂れ流す赤月の表情は、さらなる何かを求めていた。それが何か、レストの烙印を秘めたそこで語られるまでは、オレは何も言うつもりはなかった。
 自然と、口端が持ち上がる。
 赤月、どうして欲しい?
「んっ……!」
 耳たぶを甘噛みして囁くと、ぎゅっと瞼を閉じて真珠のような涙を溢す。
 ああ、ゾクゾクするな……。
 オレは赤月の薄い胸にある真っ赤に熟れた突起の片方を口に含んだ。
「ふぁっ……そこっ……やだぁっ……!」
 縛る前から散々弄ってやったそこの周りはぷっくりと膨らみ、先端のそれはツンと硬く尖っている。
 その形を確かめるように、ざらつく舌で舐めとってやると、嬌声を漏らして小さく震える。
「んああっ……やっ……キョウさ……あっ、や…だあっ……」
「嫌? 何が嫌なんだ?」
「も……そこ……やだ……きもち…いいの……んっ……」
「気持ちいいなら……いいじゃないか」
「あああっ!!」
 カリ、と粒の先端を前歯を立てて噛んでやった。すると刺激が強すぎたのか、一段と大きな声を上げた。
 ああ、いい声だな。快感に満ちた瞬間の切なげな声だ。
 ツイ…と、赤月の濡れそぼった中心を包み込み、先端の割れ目に親指を添えた。
「んっ……!」
「次は乳首とここ…両方弄ってやろうか、赤月」
「んっ……や……」
「ああ、そうか。下のお口はオレの指をくわえたままだしな。こっちも一緒にして欲しいんだな?」
「ちがっ……!」
「遠慮するな」
「ああっ!」
 熱く柔い赤月の内壁を無理なく奥へと進めてやると、ズプリと卑らしい水音を立てる。
 愛らしく微笑むためにあるような赤月の顔が、淫靡さにまみれて艶かしい。
 はあ、と唇から漏れだす吐息は甘味を帯び、オレの脳内にじわりと甘く染み込んだ。
 仕事の奴隷と同じく、ただ性に貪欲になっている醜悪な姿なのに、なぜだろう……赤月だけは違うんだ。
 頭部を踏みつけたいとも思わないし、ケツに鞭打ちよがらせたいとも思わない。
 赤月は……
「んんっ……キョウさ……やだあっ……いいのっ……気持ちいいのっ……!」
 愛しいと感じる。
 こうして名前を囁かれるだけで、オレの心臓は高鳴る。
「キョウさっ……お、ねが……もっと……んっ……あ……」
 熱く、滑らかな白い肢体に触れるだけで、オレの心は安らぎを知る。
「もっと……して、おねが……キョウさんっ……ち、くびっ……いいっ……! きもちいいのっ……前もっ……キョウさん……!」
 俺だけを求め、可愛くねだるその様に、オレの理性は吹っ飛ぶ。
「キョウさんっ……!」
 ああ、オレがやべえよ。

───…

「赤月……あかつき」
「し、知りませんっ」
「赤月」
「キョウさんなんて知りませんっ!」
「そうか……」
 知りません、と呟く赤月は、小さな真っ裸をシーツに包ませ、首まで真っ赤な顔を枕に埋めて怒っている。
 ああ、怒ってるなあ。その仕草が可愛いってことに気づいてないところがらしいっちゃらしいけど。
 飲ませた酒に二番の媚薬を混ぜていたからな。
 しかしそこまで怒ることか?
 セックスに積極的になったのは酒のせいだとしても、緊縛は赤月が望んだことで、オレの希望じゃないしな。だが、なぜ緊縛?
「赤月」
「知りません! き、キョウさんは嘘つきです!」
「嘘つき? ちゃんと気持ち良く抱いてやったつもりだが。痛かったのか?」
「ち、違いますっ」
「お前が触れて欲しいって言ったところは全部弄ってやっただろ? 乳首も尻もチン……」
「い、い、い、言わないでくださいっ! 知りません! キョウさんなんて知りません!」
「赤月」
「キョウさん、お薬が入っていることを言いませんでした! な、なのに…お酒たくさん飲んじゃいました……」
「ん?」
「そんなのなくても……そんなの……なくても……俺はっ……」

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