蓮名文庫
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Order Made

ML/リクエスト企画/短編集




躊躇う君に艶かしき接吻を 不条理な吐息




 洗髪した私は肩にタオルを掛けてバスルームを去り、望まれていない場所へと硝子張りの扉を開けた。私に言われた通り、私の情緒を揺るがす──妻の忘れ形見である駿人は、テレビも点けず閑静とした中でソファに座りながら待っていた。私の存在に気付くと一瞬だけこちらに眼を配り、また何処を見るとも無く一点を見詰める。私は高揚する感情をわざと見せ付ける様に、笑みを浮かべながら駿人の隣へと腰を降ろした。
「“待ち人”は来ない方が良かったか?」
 眼を合わせようとしない駿人の横顔を眺め、私は相手の望みを口にした。正面を見据える駿人は私が導いた通り、私が付けた“憎しみ”と言う名の傷跡を今でも大事にしている事を教えてくれる。歓楽する私はソファに左膝を立て、駿人をソファの背凭れに深く沈み込ませながら覆い被さった。
「私の愛しい子──」
 駿人の首に緩く両手を添え、堅く閉ざされた唇に顔を寄せる。
 最初は啄む様に。二度は添えた手に──苦しまない程度に──力を加えながら唇に舌を這わせ、無理矢理に抉じ開けて深く唇付けをし、口腔の至る所を舐め回す。最後は舌の裏側を舐め上げながら、駿人の唇から引いた。
「嬉楽の時間だ」
 駿人を跨(また)いだ状態で私は両膝で立ち、駿人を見下ろした。グレイのシルクのパジャマを乱す事なく綺麗に着用し、感情を帯びない顔で只そこにいる。それを淫らに暴いてやりたくて、私は釦を外しながらその肌を弄った。滑りの良い肌を堪能し、下顎に舌を這わせて降りていく。鎖骨の窪みを舐め上げ、私は顔を上げた。
「私を昂ぶらせなさい」
 微笑を含ませながら、私はバスローブの腰の紐を緩めた。ソファの中央部に座り、駿人を跪(ひざまず)かせる。駿人は露にされた私のソレを右手で触れると、口へと含ませた。
 私はその光景を眺め、愛憎入り交じるその子を凌辱する快感に酔い痴れた。
 駿人の全てを私という男で雁字搦めにし、幾度と無くその躯に憎悪を刻印する。躯も思考も全て、私で埋め尽くす──。
 駿人は私の根元を強く握りながら、カリの部分と亀頭を舐め上げていく。私を握る手元から緩やかに円を描いて舌を這わせ、最後に一気に根元まで含ませた。
 たっぷりと濡らされたソレに満足し、私は駿人をソファの隅に座らせた。駿人の衣類を剥ぎ取り、唇付けをする。次に何が来るか判っている駿人は、悲哀の色を浮かべた。またそれが私を昂振らせ、まだ何も施されていない駿人の奥地へと手を進めた。指で犯されて行く事に駿人は色情を掻き立てられ、小さく息を漏らす。
「淫らな君で魅せておくれ」
 駿人をソファに寝かせ、私はゆっくりと侵入していく。二ヵ月の間、何度も犯された筈のそこは未だに狭く、私を刺激する。慣らされて行く快楽と嫌悪に顔を歪める駿人の輪郭を指でなぞり、顔を上げさせた。私は腰を速め、淫れるのを拒みながらも順応して行くしかない駿人を見ていた。
 私に脅威を抱き、悪意を刻まれ、憎しみに侵される。私はそれにより駿人に抱く憎悪を中和させ、愛しさで己を満たす。常識や道徳は関係ない。己の道だけを突き進む。
「は……あっ」
 朽ち果てた駿人を見下ろしながら、私は満足気に微笑んだ。
「お前を凌辱する事が、私の優越だ」
 全てを蹂躙する様に、私はお前にキスをする──。

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