久多良木文庫
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Lovers Tale

BL/ML/ラブコメ短編集




かえりみち。


かえりみち。




 冷え込み始めていた秋の夕暮れ。
 数日間のテスト期間も終わり、翌日から秋休みと称したテスト休みが待つ放課後。部室で部活仲間とテスト終わりを祝い、陽が落ちきるより先に高哉颯太は帰路についた。中高等の一貫校に通う二人は幼稚園からずっと同じクラスで隣同士という幼馴染みで、互いの家が隣近所ということもあって登下校も一緒だった。
「くしゅんっ」
 他愛ない話の最中、矢庭に颯太が小さくくしゃみをした。
「大丈夫か?」
「うん。ちょっと寒気がしただけ」
 すんっと鼻を鳴らす颯太の様子に溜息を吐いて高哉は、颯太に声を掛けつつ自分も足を止める。
「これでも巻いてろ」
「へ?」
 間の抜けた声を上げて怪訝な顔をする颯太を他所に、てきぱきと高哉は自分の襟元から外したマフラーで颯太の首回りをぐるりと包んだ。
「どうだ?」
「あったかい……」
「お前はすぐ風邪引くんだから、そろそろコート用意した方がいいぞ」
 喫驚する颯太は、まだ残る高哉の温もりにだんだんと嬉しさが込み上げて、向かい合う無愛想な顔を見上げる。
「ありがと、高哉」
 突如向けられた天使のような颯太の微笑に、高哉の心臓は酷く跳ね上がった。
 高哉はドクドクと高く早鐘を打つ自身の心臓と、体内から噴き出しそうなほどの熱に頬が紅潮していくのを感じて、それらを隠そうと颯太から顔を逸らすようにしながら先に立つ。
「さっさと帰るぞ」
 そう告げる高哉は後ろ手に颯太の手を取ると、引っ張るような形でずんずん歩き始めた。
 再び驚かされた颯太の目には、耳まで真っ赤になった高哉の後ろ姿が映っていた。

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